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執筆者の写真高尾大輔

Python部



物理学科の人たちに声をかけて不定期に開催していたPython部活動と称する勉強会ですが、年明けから論文執筆やら解剖実習やらでばたばたしていて最近は全然開催できていません。いろいろPythonでやりたいことがたまってきたのでまた時間を見つけて開催したいです。今まで定量解析・数理解析のほとんどをMathematicaで行ってきたのですが、生命科学界隈では極端にユーザーが少ないので何かと不便でした。自分一人でやる分にはそれでも問題ないのですが、共同研究や学生指導などを考えると業界内で新たなスタンダードになりつつあるPythonの習得は不可避ですね。なので最近はPythonメインで解析を行っています。と書くと偉そうですが、実際にはいわゆる「Python完全に理解した」をようやく脱したあたりです。。


Pythonを始めたいけど何から手を付けたらいいのか分からない人によくおすすめするのが「とりあえずグラフを描いてみる」です。スクリプトも結果もシンプルで、しかも実用的。グラフの描画をエクセルからPythonに少しずつシフトしていくと、無理なく始められると思います。教科書の通りに順番に例題を実行していく、というやり方もあるのかもしれませんが、それよりも自分の実験データを使っていきなり実戦投入した方がモチベーションを保ちやすいというのが持論です(教科書はどちらかというと辞書的に使う)。他にも普段別のソフトでやっている作業をPythonに置き換えるのも効果的だと思います。モチベーションを保ちやすい点に加え、慣れたデータと解析手法を使うことで、正しい解析結果が得られているかどうかの判断がしやすいというメリットもあります。私はこれまでならImageJを使うような画像解析をPythonでやってみたりして練習しています。そんなこんなで現在投稿中の論文ではなんと画像解析の全て(!)をImageJではなくPythonで行いました。全工程の中でImageJを使ったのは顕微鏡画像のRAWデータをTIFFに変換するところだけ(それももちろん自作マクロで自動化)。必要性という点ではそこまで振り切る意味はないのですが、学生と一緒にいい練習にはなりました。笑


以前も書いた気がしますが、ディープラーニングを含む機械学習は様々な研究分野で急速に普及していて、生命科学においてもごく近い将来、現在の基本的な画像定量のように誰でも当たり前に使う技術として定着すると思います。そういう点でもPythonを習得しておくとアプローチの幅が広がります。また、もう少し高度なイメージング技術でもPythonの存在感が増しているように思います。2014年ノーベル化学賞で注目を浴びた超解像顕微鏡法のように、ハードウェアベースの顕微鏡開発はこれまで精力的に進められ、ある程度成熟してきた感があります。一方で、セグメンテーションやクラス分類、超解像アップコンバート技術など、主に機械学習を利用したソフトウェアベースの技術開発も急速に発展しています。私は顕微鏡開発もしてきましたが最近はそれよりも細胞生物学研究へのアプリケーションに軸足を置いているので、このソフトウェアベースの技術の方により関心があります。比較的短期間に低コスト(←ここ大事!!笑)で新しいことができるのも魅力です。実際、現在投稿中の論文も、ディープラーニングによる顕微鏡画像のクラス分類と細胞生物学的な情報の抽出がメインで、とても限られた期間と予算で達成できました。また、ソフトウェアベースだと、特殊な顕微鏡を使うために現地に赴く必要はなく、データをやり取りするだけなので共同研究も比較的容易です。もちろんハードとソフトどちらが優れているという単純な話ではなく、まだまだハードウェアで克服すべき課題はたくさんあります。あくまで私の個人的な興味がソフトウェアベースの技術開発・応用に傾いているという話。実験と解析・理論の両立を目指すこれまでの研究スタイルがここにきて面白い方向に発展していて、この勢いで新たな境地を開けたらと思います。


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